Doi Project-I
GaNやSiC(単結晶)の基板適用によるグリーンデバイスの開発によって,消費電力量およびCO2排出量の
膨大な削減効果が見込まれる.これらの結晶材料の有する特異な特性を十二分に発揮し,高品位の
薄膜を形成する下地基板として適用するために,所定の形状・寸法精度に高能率かつ高品位(超精密の
無擾乱鏡面)に仕上げることが要求される.
九州大学 産学連携センターでは,一連のプロセスに関わる結晶製造・加工装置,材料・消耗品などの
メーカが一体となって協働して研究開発を進めることを念頭に,有機的組織・マルチ産学連携コンソーシアム
として本プロジェクトを設立した.本プロジェクトは,難加工性材料(サファイア,SiC,GaNなど)を対象とし,
数十時間にも及ぶ加工プロセス時間を短縮することで,デバイス製造の低コスト化を図ることを主目的として
2012年度から研究開発を開始した.
ここでは,高精度・無擾乱鏡面に仕上げるために膨大な加工時間が必要とされる仕上げ加工
(コロイダルシリカによる研磨)以前の中間加工(微粒ダイヤモンド砥粒による研磨)工程に着目し,
ダメージ層(加工変質層・潜傷,スクラッチなど)の発生を抑制することで,仕上げ工程にかかる負担を
極小化する.一般に広く適用されている金属定盤による研磨加工から,樹脂製の研磨パッドに切り替える
ことで,研磨ダメージ発生の軽減を図るべく新規プロセス(スマートポリシング法)の構築を行った.
本検討を展開する中から,特殊粘弾性素材を応用した新規パッド(スマートパッド)を考案・試作し,
さらなる研磨の高能率化と高精度化を達成した.

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